土曜の牛の日ですね。
月曜日なのに土曜とは一体、どうした事でしょうか。不可解です。
土曜の牛の日には毎度、うなぎを食べる慣わしがあるそうですが、
これもどうも納得しかねます。
牛の日であるならば、牛を食べるべきだとは思いませんか。
そもそもどうして土曜の牛の日と云うのでしょうか。調べました。
起源は「今昔物語」にありました。
平安時代、貴族の移動手段には主に牛車が用いられていました。
醍醐天皇のひ孫、源行尚も例外ではなく、姫の元に逢い引きへ向かう際も牛車を利用し、
それが決まって土曜日だったのだそうです。
曜日と云うのは平安初期に日本に伝わり、貴族を中心にして広まったのだそうで、
当時、曜日を決めて逢い引きを行う事をお洒落とする風俗があった、と記されています。
しかし、生涯、多くの女性と関係を持ったとされる源行尚の事、
次第に件の姫の元へと通う日数も、少なくなっていくのでした。
業を煮やした姫は、源行尚へと文を寄越したそうです。
「貴方の心が私から離れて幾ばくの夜が過ぎようとも、
私の心はまだ共に過ごした幾夜の温もりを忘れてはおらぬのです。
あな悲しや。
それをどうしてお怨み申さないでいられるでしょうか」
文を読むや否や、源行尚は慌てて筆をとりました。その云い訳ときたら、
「車を引く牛を食ろうてしまい、そなたの元へ行かれぬ事、私も大変、心苦しく思うておる」
「牛の肉とは、随分、世に珍しいものをお召しになる。是非、私も食してみたいものです」
「では、土曜に牛の肉を持って参じよう」
牛肉を食べる習慣がなかった当時、気付かれないと思ったのでしょう。
源行尚は代わりに捌いたうなぎを手土産に、姫の元へと向かったそうです。
……牛車に乗って。
それから、源行尚が姫の元へと向かった日を「土曜の牛の日」と呼び、
うなぎを食べる日として広く親しまれるようになったと云う事です。
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